ガイド業務プロセス業務フロー図 書き方業務改善 ECRS

業務プロセスとは?フロー図の書き方から改善・自動化まで

業務プロセスの意味、業務フロー図と定義書の作り方、改善と自動化をどこから始めるかを、メールで始まる受注業務の例でまとめました。

要点

業務プロセスとは、仕事が始まるきっかけから終わりの結果までについて、誰が、どの順番で、何を受け取って何を作り出すのかを決めた流れです。いまのやり方をそのままフロー図に描き、転記・待ち時間・期限の見落としのように時間がもれている工程を見つけて、なくす・まとめる・自動化するのが改善の基本的な順序です。

業務プロセスとは何ですか?

業務プロセス(business process)とは、1 つの成果を出すためにつながっている業務工程のまとまりです。たとえば「顧客の注文を受けて納品し、代金を回収する仕事」は、見積、受注、出荷、納品、請求、入金確認とつながる 1 つのプロセスです。

業務プロセスを整理するときは、次の 6 つを書き出すと抜けがなくなります。

構成要素意味受注業務の例
開始のきっかけプロセスを始めさせる出来事顧客からの見積依頼メール
工程(作業)やるべき作業。「対象+動詞」で短く書きます見積書の作成、注文書の確認
担当工程を受け持つ人や部署営業、製造、経理
インプット・アウトプット工程に入ってくる書類・データと作り出す結果注文書 → 受注台帳の 1 行
基準期限・承認・品質の条件回答期限 3 日、値引き時は課長承認
終わりプロセスが終わったとみなす状態代金の入金確認

業務プロセス、業務手順、業務マニュアルはどう違いますか?

区分扱う範囲例
業務プロセス複数の人・部署を経由する仕事の大きな流れ見積から入金確認まで
業務手順1 つの工程の中で守る順序とルール注文書を受け取ったら品目・数量・納期を確認し、台帳に記入する
業務マニュアル手順どおりに作業できるよう画面や書式まで説明した文書受注台帳 Excel の入力方法

まずプロセスで大きな流れをそろえ、問題がよく起きる工程だけを手順やマニュアルで詳しく書くのが効率的です。

業務フロー図はどう書けばよいですか?

業務フロー図(プロセスマップ)は、プロセスを図で表したものです。最初からツールを開くより、付せんに工程を 1 つずつ書いて貼っていくと早く描けます。

  1. 始まりと終わりを決める「見積依頼のメールを受けたら開始、入金を確認したら終了」のように、まず範囲を決めます。範囲が広すぎるとフロー図が終わりません。
  2. 工程を順番に並べる1 つの工程は「見積書を作成する」「注文書を確認する」のように、対象と動詞で短く書きます。
  3. 担当者ごとにレーンを分ける営業・製造・経理のように担当ごとに横のレーン(スイムレーン)を分けると、仕事が人と人の間を行き来する箇所が見えてきます。待ち時間や漏れの多くはこの箇所で起こります。
  4. 分岐と書類を書き込む「在庫はあるか?」のような判断はひし形で、やり取りされる書類は書類の記号で表します。
  5. かかる時間を書く工程ごとに作業時間と待ち時間を書いておくと、あとで改善する箇所を選ぶときの根拠になります。
記号形使う場面
開始・終了角の丸い四角形プロセスの始まりと終わり
処理四角形人やシステムが行う作業
判断ひし形はい・いいえで分かれる箇所
書類下辺が波形の四角形見積書・注文書などの書類
流れ矢印次の工程に進む方向

フローチャートで広く使われている記号です。システム開発のようにより厳密に描く必要がある場合は、BPMN の表記法を使います。

業務フロー定義書には何を書きますか?

フロー図が絵だとすれば、定義書は同じ内容を表にまとめた文書です。Excel 1 枚に次の項目を列として並べ、工程ごとに 1 行ずつ書けば完成です。

項目記入する内容
プロセス名・目的何のための仕事か(例:受注した製品を納期内に納品し、代金を回収する)
範囲開始のきっかけと終わりの状態
工程・担当工程の名前と担当する人・部署
インプット・アウトプット工程に入ってくる書類と作り出す結果
基準期限・承認条件・確認項目
ツール使うシステムやファイル(メール、Excel、基幹システムなど)
指標うまくいっているかを見る数字(回答までの時間、漏れの件数など)

この項目で作った 業務フロー定義書の Excel テンプレート を無料でダウンロードできます。工程を 1 行ずつ書くと担当ごとのフロー図が自動で描かれ、受注業務の記入例も入っています。

例:メールで始まる受注業務のプロセス

メールで見積依頼や注文書を受け取る製造・卸売会社の受注業務を例にすると、次のようになります。青い枠は、人が転記したり管理したりしていた作業をツールに任せられる工程です。

  1. 営業見積依頼の受付メール → 見積台帳自動整理
  2. 営業見積書の作成・回答見積書ファイル → 元のメールに返信添付返信
  3. 営業注文書の受付(受注)注文書 PDF・FAX → 受注台帳自動整理
  4. 製造・物流製造・出荷の準備受注台帳 → 作業指示
  5. 物流納品・納品書納品書 → 納品書台帳自動整理
  6. 経理請求・入金確認請求書 → 支払期限・残額期限の通知

例の会社の流れです。工程や担当は会社によって異なります。

工程ごとによく起きる問題と、変え方をまとめると次のとおりです。

工程よく起きる問題変え方
見積依頼の受付いくつものメールアドレスに分かれて届き、誰が回答するのかがあいまいになる1 つの一覧(見積台帳)に集め、回答期限をカレンダーに登録する
注文書の受付PDF や FAX を見ながら受注台帳に転記して間違える注文書を読み取って台帳に 1 行ずつ記録し、人は確認だけを行う
製造・出荷の準備納期が台帳にしか書かれておらず見落とす納期をカレンダーに登録し、近づく予定を確認する
納品・納品書受け取った納品書を仕入台帳に打ち直す納品書を読み取って納品書台帳に記録する
請求・入金確認分割で支払われた案件の残額を別に計算する支払額を入れると残額と状況が計算されるようにする

業務改善はどこから始めればよいですか?

改善は、いまのやり方(現状、As-Is)をありのままに描くことから始めます。理想の姿から描き始めると、実際に時間がもれている箇所を見落としやすくなります。

  1. 現状の流れを描く担当者から実際の作業順序を聞き、そのまま描きます。例外処理や「本来はやらないが、よくやっている作業」も書き出します。
  2. ムダを見つける同じ内容を 2 回書いている箇所、ほかの人を待っている箇所、聞き直している箇所、期限を記憶に頼っている箇所に印を付けます。
  3. ECRS で見直すなくせないか(排除)、まとめられないか(結合)、順序を入れ替えられないか(交換)、もっと簡単にできないか(簡素化)を順に問います。自動化は簡素化の手段の 1 つです。
  4. 新しい流れを定義書に反映する改善後の流れ(To-Be)を定義書とフロー図に書き直し、担当者と共有します。
  5. 指標で確認する回答までにかかった時間、転記にかかった時間、漏れ・遅れの件数を改善の前後で比べます。

業務プロセスの自動化は、どの工程から始めるとよいですか?

頻繁にくり返され、届く書類の形が似ていて、人が内容を転記している工程から自動化すると効果が大きくなります。見積金額の決定、例外の判断、顧客対応のように判断が必要な工程は人が受け持ち、ツールは必要な情報を集めて見せる役割に使います。

  • 自動化しやすい工程:メールや FAX で届いた注文書・納品書・請求書の内容を台帳に移す、期限をカレンダーに登録する、決まったファイルを添付して返信する
  • 人が受け持つ工程:見積金額と納期の約束、クレーム対応、例外の承認
  • RPA と AI の違い:RPA は決まった画面で決まったクリックや入力をくり返すため、様式が変わると止まりやすくなります。AI は書類の内容を読んで値を探すので、様式が違っても同じ列に整理できます。どちらの場合も、確信度が低いものは人が確認できるよう表示するのが安全です。

メールで届く受注業務を自動化した様子は 部品メーカーの活用例 で、実際の画面は デモ で確認できます。

よくある質問

業務プロセスとワークフローは同じ意味ですか?

似た意味で使われます。一般に、業務プロセスは会社の業務の大きな流れを、ワークフローはその流れを承認や通知のようにツールの中で実行する順序を指すことが多いです。

業務フロー図はどのツールで描けばよいですか?

PowerPoint や Excel の図形、無料の作図ツールで十分です。最初はホワイトボードに付せんを貼り、工程を動かしながら描くほうが早く進みます。

小さな会社でも業務プロセスを整理する必要がありますか?

担当者が替わったり不在になったりしても仕事が止まらないようにするには必要です。最初は、最も頻繁に行う業務 2〜3 個を 1 枚ずつ整理するだけでも十分です。

業務改善の事例を見たいのですが。

メールで届く見積・注文・納品書・請求書の業務をもとに作った 業種別の活用例 を参考にしてください。実際の顧客事例ではなく、デモをもとにした例です。

自社のメールでも使えますか?

お使いのメールと書類の形式を教えていただければ、合わせてご案内します。